今回お話を伺った方々

  • DTP課 Kさん
    (InDesign経験 8年)


    第3回ジャグラコンテスト InDesign ファイナリスト。
    デザイン性の高い制作物にも定評があるが、本人いわく「細かい指示がある組版も好き」。
    仕事の幅の広さでお客様からの信頼も厚く、後輩オペレーターからも尊敬を集めている。

  • DTP課 Mさん
    (InDesign経験 5年)


    第3回ジャグラコンテスト InDesign ファイナリスト。
    ページ物の組版で経験豊富なDTPオペレーター。黙々と制作に取り組む姿は職人そのものだが、普段はとっても気さくな人柄。
    息抜きは「海外ドラマのDVDを見ること」。

  • DTP課 Tさん
    (InDesign経験 5年)


    第3回ジャグラコンテスト InDesign 第一次審査の総合第3位。
    ページ物の組版を得意としているDTPオペレーターで、仕事と家庭を両立させる「働くママ」。
    丁寧な仕事ぶりのみならず、温和な笑顔と気配りでDTP課のチームワークの要になっている。

ジャグラコンテスト InDesignの課題制作について

――今回は、ジャグラコンテストで優秀な成績を収めた皆さんにお話を伺います。どうぞよろしくお願いいたします。

全員
よろしくお願いします。

――まずはジャグラコンテストについてですが、どのような形で行われたのですか?

Kさん
1次審査は、それぞれ会社や自宅で課題を制作しました。相談したり、調べたりしても良いということだったので、分からないところや不安なところは、他の参加者と話し合ったり、インターネットで調べたりしました。

――簡単に審査の内容を、教えていただけますか?

Mさん
全部で4つの課題があり、課題1は「横組み冊子の制作」、A4で見開き2ページ。課題2は「縦組み新聞レイアウトの制作」で、タブロイド判見開き4ページでした。
また課題3は「フライヤーの制作」、課題4は自動表組でした。
それぞれ体裁やフォント、テキストが決められている中で、後々のランダムな修正や追加の原稿があることも踏まえて、効率よく処理が行えるデータを作ることが求められました。

――特に難しかったのはどんな点でしょう?

Tさん
課題1の柱の自動更新はすごく難しかったです。
章タイトルを自動で柱に反映させるのですが、章タイトルも柱も指定がとても複雑で…

――少し補足しますと、「柱」(はしら)というのは、ページ本文の上部や下部に配置される章タイトルなどの文字のことです。
  KさんとMさんはいかがでしょうか?

Kさん
一番難しかったのは、課題4の自動表組で、これは調べて勉強しても、なかなか上手くいかずに大変苦労しました。
Mさん
これまで業務の中で使う機会のなかった機能を必要とすることがあり戸惑いましたが、一次審査は調べて制作することができるので、かなり勉強になりましたね。

――縦組みの課題では、去年も今年も、電算印刷からエントリーした方が全体のトップ3に入っていますね。得意な分野なんでしょうか?

Kさん
そうだったんですね、そこは気づかなかったです。
Tさん
基本的には、縦組みも横組みもそんなに大きな違いはないのですが、横組みしかやったことがないと、日本語特有の禁則や数字、ローマ字の処理などは苦労するところかもしれません。
Mさん
電算印刷は、自分も含めて、書籍組版の経験が多いのはあるかもしれませんね。

――フライヤー制作ではTさんが満点で全国トップだったそうですね。縦組みも横組みも、バランスよく技術を持っているってことですね。

指示をきちんと読み取って、意図を汲みあげることが基本

――作業をする際に効率を良くしようとすると、どんなことが重要になりますか?

Mさん
たとえば文字だったら、「スタイル」というものがあるのですが、それを当てると書体も色もある程度は一度に変わるというような設定をします。大見出しならこうとか、リード文はこうとか。そういう「スタイル」を最初に整えておくことが大切だと思います。
Kさん
お客様や、作るものごとに、作る「スタイル」は一つひとつ違います。
Kさん
作るものによって、見出しや本文の見た目についての指示は変わることがありますが、根本的な日本語の組版ルールで決まっている部分もあります。守るべきルールや指示にきちんと従うことも大切です。
Tさん
根本的なルールの徹底だったり、「スタイル」の作り方だったりは、作業の効率に大きく影響します。

――コンテストに話を戻しますが、Tさんは、1次審査の結果で応募者総数143名中3位と好成績でしたが、都合で2次審査を辞退されたのは惜しまれます。2次審査は東京が会場でしたよね?

Kさん
そうです。東京のジャグラ本部の1階で、全国からファイナリスト11人が集まって行われました。

――こちらはどんな様子でしたか?

Kさん
緊張でそれどころじゃなかったりもしたのですが、全国からDTPのスペシャリストの方が集まっていたので、もう少し話ができたら良かったのかもしれません。

――2次審査の課題はどのようなものでしたか?

Mさん
課題に取り掛かる前に、まず審査用のPCの設定を整えるための時間があって、それから課題に取り組みます。
Kさん
この時間は多めに取られていて、落ちついて作業できました。
Mさん
その後、すぐに実技試験が始まりましたが、こちらは120分の制限時間の中で、A4縦/フルカラー/2ページの完成している状態に見える雑誌紙面のInDesignデータが与えられるのですが、次号以降も同じデータを元にして、内容を入れ替えて使用することなどを踏まえて、紙面の修正やデータ処理をするというものでした。
Kさん
本番は時間が決まっていますし、緊張もあったのか、勘違いしてしまった部分もあり、普段通りに進めることができませんでした…。もう少し冷静に対処できていればと思うと、残念です。

――用意された時間が短かった?

Mさん
時間的には、普段の業務でもこれくらいの時間で出来ればいいのかもしれません。

――2次審査では、全て自分一人でこなさなければいけないんですよね?

Kさん
そうですね。1次審査や普段の業務とは違って、周囲に相談できないことは、分かっていてもプレッシャーになりました。
Mさん
普段の業務で周りの人と相談することも、大事なことだったんだなと強く感じましたね。

――課題のようなデータを処理することは、普段の業務でもありますか?

Tさん
はい、よくあります。雑誌とか、学級通信みたいなおしらせとか、これから同じ体裁で中身を変えて繰り返し使うことが前提になるデータなどがあります。

――コンテストを通じて、なにか感じたことはありますか?

Kさん
痛感したのは、「与えられている指示を見落とさないこと、ルールに従うこと」ですね。
Tさん
指示の通りになっているかということは、1次審査でも厳しく求められました。フォントの種類や級数などの細かい指定や、ここのアキが何ミリとか。
Kさん
普段の業務でも、お客様によってはレイアウトをミリ単位で指示して来られるときもあります。営業からの情報とか、指示書とかをしっかり理解した上で、お客様の意図を汲んで作業をすることが、仕事の上でも絶対に必要だと痛感しました。
Mさん
それは本当にそうだと思います。
Kさん
あと、ぜひお伝えしたいことは、1次審査の「InDesign基礎」(InDesign組版技術の習熟度)の評価が、私とTさんはAAで、MさんはAAAだったということです。

――InDesignを使いこなせている、DTPの基礎技術が高いことの表れですね。Mさんの成績は特にすばらしいですね。

Mさん
文字組みはずっとやってきた仕事ですし、結果がついてきて、少しほっとしてます。

――コンテストからは離れますが、普段の仕事で心がけていることは?

Kさん
私は「気になるところは最初にやろう」ということです。複雑な部分だったり、気がかりな部分は最初にすっきりさせておくと、後が楽になって、最初に「まあいいか」という感じで始めると、後々問題が大きくなるんですね。
Mさん
私の場合は、分からないことがあったらどんな細かいことでも人に聞くということですね。お客様にもそうですけど、やってて分からないことがあったら、周りに聞いたりとかも。
Tさん
私もKさんと同じで、基本をしっかり守るということを大切に考えています。ひとつの仕事でもページ数が多いものだと手分けして作業することがあるんですが、全員がルールを守って作業しないと混乱して、いいものが作れません。最初にきちっと確認しておかないと、あとになってバタバタして、結局時間がかかってしまいますね。
Kさん
失敗を次に活かしていくということも、必要ですよね。

――コンテストの結果を受けて、これからやってみたいことなどはありますか?

Mさん
最近はデザイン的な部分が多い仕事も任せてもらう機会が増えてきましたが、表紙や扉は、本文に比べて制約がない部分が大きくて戸惑ってしまうことがあるので、デザインの引き出しをもっと増やしていきたいですね。
Kさん
デザインは本当に難しいです。いつもとても悩みます。悩んだからといって、良いものが出来るというわけでもないですし…。

――Kさんは、デザイン性の高いものでもお客様からの評価が高いと聞いていますが、それでもやはり難しいと感じるんですね。

Kさん
デザインと文字組みと、どちらが簡単ということはありませんが、お客様からの細かい指示にお応えするような仕事も得意です。デザイン的な部分が多いものだと、お客様に満足していただけるか、文字を組むときとは違うプレッシャーを感じますね…。
Tさん
私は、コンテストの課題の中に仕事では使ったことのない機能ややり方などがけっこうあったので、まだまだ勉強しなきゃいけないなあと実感しました。それを仕事に活かして、その仕事にベストな方法を選んで実行するということを身につけないと、効率も上がっていかないと思っています。
Kさん
どんどん新しくできることが増えていくので、置いていかれないように勉強し続けなければいけません。
Tさん
InDesignって、本当に奥が深いなあと痛感しました。
K・M
同感です!

――今日は本当にありがとうございました。これからも品質の高い製品づくりを期待しています!

全員
ありがとうございます、がんばります。

(注)所属、経歴およびインタビュー内容はすべては、取材当時のものです。

DTP(Desktop Publishing)とは?

DTPとは、「机上組版」や「卓上組版」とも言われ、パソコンで印刷用のデータを作成することです。
パソコンが普及する以前の印刷物の編集・制作の工程では手作業の部分が多く、多くの人と時間を要する大変なものでした。現在では、印刷物のレイアウトから製版まで、すべてパソコンでデータを作成して処理するようになりました。
文章や画像(写真やイラスト)などの配置、フォントの種類や大きさなどを考え、誰にとっても分かりやすく、読みやすいレイアウトを作るプロフェッショナルがDTPオペレーターです。

DTPアプリケーション(Adobe InDesignなど)は複雑な機能を持っており、使いこなすためにはデザインや印刷に関わる深い知識、最新のコンピュータやWebに関する知識も必要になってきています。
お客様の指示や要望から「伝えたいこと」の意図を汲み、より読み手に分かりやすく「伝わる」紙面を作ることは、道具が変わっても基本であり、DTPオペレーターに求められるものは日々増しています。

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電算印刷の製品づくりへの思いを、いろいろな角度からご紹介します